個人的にはちょうど現在進行中のシンシリーズよりも、この映画こそが庵野監督の実写作品の真骨頂だと思います(そしてラブ&ポップよりも洗練されている)。
線路、工業地帯、高速道路など風景を時に美しく、時に独創性溢れる構図で撮る。
彼女が住む建物の内装はまさに庵野の想像力が爆発。床に描かれた線路、傘が敷き詰められた水浸しの地下室、壁に張り巡らされた写真など、他の映画ではなかなかお目にかかれないユニークなセットに感服する。
映像作家として完成されすぎているキマりきったシーンの連発にただただ圧倒されます。
旧劇エヴァでは辛すぎる他者との関係に縛られて、ボロボロな鬱状態の中での悲痛な叫び。この式日ではある程度心が落ち着いて、気持ちの整理ができた上でもう一度辛い現実で生きることの活路を探そうとするような感覚。
ただカントクにはもうちょっと彼女に寄り添った言葉をかけてほしかったかも。「今までよく頑張ったね」ぐらいは言ってあげていい。彼女の心が強かったからどうにかなったけど、これかなりの荒治療だよなあ...