一人旅

ハンニバルの一人旅のレビュー・感想・評価

ハンニバル(1959年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
エドガー・G・ウルマー監督作。

共和制ローマとカルタゴ(現在の北アフリカ・チュニジア)が戦った第二次ポエニ戦争(紀元前218~201年)を題材とした史劇で、イタリア映画にも関わらずカルタゴの名将ハンニバルを主人公に設定しています。

アルプスからローマに向けて進撃する将軍ハンニバル率いるカルタゴ軍と彼らを迎え撃つローマ軍の攻防を、主にハンニバルの視点で活写した歴史映画ですが、元老院議員の姪であるヒロインとハンニバルの“敵同士の恋”が物語のエッセンスとして盛り込まれています。

史実と創作がない交ぜとなった歴史物で、特にハンニバルを“平和主義の理性派”とする描き方は、私たちが高校の世界史の授業で植え付けられたハンニバルに対する最強漢イメージを払拭するもので新鮮味があります。

見所は史実でもあるカルタゴ軍の極寒アルプス山脈越えや大軍勢による川渡り、エキストラ総動員で撮影されたカルタゴvsローマの野戦シーン等で、カルタゴ軍がアフリカから連れてきた象の大群が巨大兵器として戦場を駆け抜けるシーンも異色の迫力が感じられます。また一方で、ミニチュアで再現された大都市ローマの俯瞰的光景や、議員が集って議論する元老院内部のセットもよく作り込まれています。

蛇足)
イタリア映画らしく“なんちゃって史劇”ではなく比較的真面目に作られている娯楽作ですが、同年にアメリカで製作された超大作『ベン・ハー』と比べると見る影も無くなってしまうのは事実であります。
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