猫脳髄

悪魔のはらわたの猫脳髄のレビュー・感想・評価

悪魔のはらわた(1973年製作の映画)
3.4
アンディ・ウォーホルはほぼ名義貸しくらいの関与だそうだが、子飼いの監督ポール・モリセイがアングラ界隈のアイドル俳優ジョー・ダレッサンドロと当時売り出し中のウド・キアを担いだフランケンシュタイン翻案のゴア・ムーヴィー。本作と「処女の生血」はキャストを兼用して二本撮りしている。

ノンクレジットだがイタリアの名プロデューサー、カルロ・ポンティが製作をつとめ、職人監督アンソニー・M・ドーソンことアントニオ・マルゲリーティが特殊効果シーンなどいくつかの追加撮影と3D効果を担当し、商業映画に不慣れなモリセイをサポートしたとされる。

古城にこもり、人造人間間の交配による新人類の誕生を目論むフランケンシュタイン男爵ことウド・キアが、人造人間の頭部のために精力の強そうなハンサムを狙ったところ、人違いを起こしてしまい…という筋書き。

屋内撮影ではチネチッタのセットを使用しており、これがワイドスクリーンのせいもあって、舞台劇のように見えてしまう。モリセイの真意は不明だが、「処女の~」が古いヴィラを使用しているのとは対照的な空間設計なのは確かである。また、「処女の~」がドラキュラを翻案し、プロレタリアによる階級闘争を描いたのに対し、本作は同性愛をモティーフのひとつにあげ、古典怪奇映画の体裁をとりつつ、現代的なテーマとゴア表現を取り入れることで新味を狙ったと思われる。

ただ、「処女の~」が活劇まで盛り込んでメリハリをつけ、きちんとヤマがあったのに対し、こちらはややダラダラした展開なのは否めない(※)。ゴア表現の要となる特殊メイクはカルロ・ランバルディが担当し、あふれる内臓(3Dではなかなかの迫力だっただろう)や血糊などなかなか見せてくれる。

※即興で演じさせるプランが失敗したため、急きょ脚本を執筆したことが要因のひとつだろう。「ファックで胆のうに生を吹き込むのだ!」は名言だが…
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