キャッチ30

用心棒のキャッチ30のレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.1
『七人の侍』の項で「チャンバラ映画として観ると肩透かしを食らう」と書いた。今作でも同じことが言える。基軸になるのは三船敏郎演じる用心棒のキャラクター像であろう。

物語は宿場町を取り仕切っている二組のヤクザを用心棒が両組織を壊滅させようとする内容だ。用心棒は劇中で桑畑三十郎と名乗っている。三十郎は放埓で、用心深くて、観察力がある。一方で不幸な一家には力を貸す人情味が熱い一面もある。三船敏郎が菊千代とは違うクールな役をこなしている。

三十郎以外のキャラクターも魅力的だ。モダンなヤクザでライバルの仲代達矢、ずる賢い山田五十鈴。中でも、私が印象に残っているのは三十郎と行動を共にする飯屋の権爺である。彼は関わりたくないと、三十郎を疫病神扱いするが三十郎の人の良さを知ると、手を貸し始める。初代水戸黄門が存在感を見せている。

今作が無ければ、『荒野の用心棒』も『マッドマックス2』も『許されざる者』も製作されなかったに違いない。