Tully

ゾディアックのTullyのレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
5.0
実際にあった史上最悪の事件「ゾディアック事件」を映画にしたもの。事件の概要はネット上で調べたら出てくるので、それを見た上でこの作品を見る事をおすすめします。暴力。殺人。事件に対して、怖い・おぞましいと思いながらもそこに何故か興味、というか魅了されてしまうのが人間なんだなぁと感じました。私自身、映画を見ている、という感覚がありながらもやはり「どうなるんだろう」とハラハラするこの感じは、そういうところからも来てる感情だと思う。汚いし、失礼なものだとは分かっています。そんな心のハラハラと、とても冷静な画。ただただ真っ直ぐに事件を追っていく。3人の男がその事件の真相を目指して、真っ直ぐスタートしながらも、次々に脱落していく姿。そこに意味を持つ、ということがもう絶対出来ないような脱力感。何だろう。ゾディアックは殺人鬼、というだけでなく人の心に取り憑いたバケモノのように感じた。人の形をして、人の心を持ったもの。だから余計に怖くてでもそこに魅了される。犯人が分かればいいとか、事実が知りたいとか、そういうんじゃない。事件を取り巻く人間の心理を教えてくれた気がした。
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