ムッソリーニ政権下のローマ。家事に追われる主婦と、ある理由から勤務先を解雇された孤独な男。同じアパートに暮らすふたりが偶然出会い、その細やかな触れ合いから保守的な男と女の在り方に疑問を呈する脚本が秀逸
男はこうあるべき、女はこうあるべきという旧態然とした価値観に抑圧されてきたアントニエッタとガブリエレが僅かな時間だけ解放されるその一日は文字通り「特別」だ
カメラが窓枠から室内へと移動してアントニエッタの姿を捉えるオープニングとエンディングのショットは一見似ているようでありながらも、彼女の心情は確実に違っているわけで、この辺りの演出は大変上手い
ラストはちょっと切ないけども、変にお涙頂戴の感じにせず、さり気なく幕を閉じたのも良かった
息がピッタリのソフィア・ローレンとマストロイァンニの名コンビぶりに拍手
(2023-44)
