優秀で野心家のハーバードロースクール生ミッチ。絶好の条件を提示されて務めることになったメンフィスの法律事務所が実は裏社会と繋がっていたと知り、追い詰められた主人公が組織から抜け出すために奮闘する。
変に自分を犠牲にするでもなく正義感に燃えてFBIに全面協力するでもなく、それまで避けていた自分自身の弱みや過去と向き合い最適解を導き出すまでを描くサスペンススリラー。
元々は小説なのでプロットがかなり作り込まれているし、細かいギミックも散りばめられていて見応えがあった。ちょっと冗長気味かなという部分もあるけど、陰謀に巻き込まれる若造トム氏のハラハラ逃走シーンやふとした場面でフィジカル能力の高さを披露したりと見どころは案外多いのでは。
FBI捜査官役のエド・ハリスとトムの共演は今観ると嬉しくなっちゃうし、もちろん名優ジーン・ハックマンの存在感、説得力のある演技も良かった。まあミッチの妻アビーに近づいた時は正直(キモッ…)と思ってしまったけどもその後の展開は良かった。
美味しい話には裏がある。
勤め先の事務所が当初からパートナーたちの家庭環境やプライベートをコントロールしようとするなど胡散臭い要素は満載だったのに、ミッチの貧しい生い立ちや優秀さゆえの驕り高ぶりが判断を鈍らせてしまったんだろうね。
家だ車だ破格のボーナスだと囲い込み、子供の高額学費を支払うころにはそこから抜け出せなくさせるという、まさにヤクザなやり口がリアリティあって怖かった。
にしてもマフィアのマネロン先が弁護士事務所とは大胆だな。
