このレビューはネタバレを含みます
当時人気絶頂のトム・クルーズが美し過ぎる。
この時30歳だと思いますが、ロースクールを卒業したての新米弁護士の初々しい役が似合いすぎ。もう、トムさんのお目目キラキラ&いい人オーラを見るための映画と思って観て欲しい。
原作はリーガル・サスペンスの第一人者、ジョン・グリシャムの小説。
遥か昔ですが、小説も読んでいて映画も観ていて、タックスヘイブンのケイマン諸島を経由したマネーロンダリングの犯罪を描いている事も記憶しているのに、映画のラストは全く覚えていなくて。
今回視直してみて……痛快さがなさすぎて、このエンディングはまた忘れる自信があるわ…
各シーンの印象が薄いんですよ。
トムの顔、トムのラブシーン、トムの全力疾走。
いいところはそれ。トムに全部持って行かれているというか。
悪人に極悪感がない。FBIの怖さもイマイチ。
裏切り者がわかりにくい。ミッチの妻のアビーの悩みもトムにあんなにも愛されてるのにあの態度?なんか贅沢ねー、おまけに美女でもないしに見えちゃうし。
ピンチのシーンもトムが真剣に演じているからハラハラはするのですが、追い詰める敵が強そうじゃない。彼らだけ?本当にマフィアの手のもの?なレベル。
映像的にも探偵が殺される場面以外には衝撃的なものは無くて、ケイマン諸島の圧倒的なはずの海の美しさもホテルのシーンが中心で残念なことにあまり感じられない。エイヴァリーの死さえも伝聞で終わり?
唯一ジーン・ハックマンは存在感ありです。
アビーとのやり取りも見応えがありました。
でも物語的に無難になってしまっている一番の理由は、トムをいい人に描かないといけないから、なのかもしれない。
ミッチが金に釣られて怪しい事務所に入ってしまったのも、貧困な生い立ちという言い訳があり、妻への愛は揺るぎない。据え膳食った浮気も妻に告白して許しを乞う。縁を切っていた犯罪者の兄とは和解するし、殺された探偵の愛人とも仲良しになるし、FBIともマフィアとも敵対せずに円満に収めちゃうし、次はもっとちゃんとした事務所にお勤めしましょう。という話???
兄共々マフィアに殺されるか、FBIに駆け込んで生命を護ってもらう代償に守秘義務違反に問われて弁護士資格を剥奪されるかという危機的状況をひっくり返す大逆転!!な、スッキリがないのです。
郵便詐欺を暴いて事務所を潰す作戦というのが、実に地味(^^;)
原作では大胆にも事務所から大金を騙し取って逃げたはず。
映画的にスッキリならこのエンディングでしょうに。
これはトムを正義の人に描くための脚本の「改変」だったそうです。
人気があり過ぎるというもの問題なのね。