【愛の暮らしは、楽しく哀しい】
佐藤江梨子のほうが八嶋智人より背が高い。美人のサトエリ、どことなくぱっとしない八嶋。キャバレーのホステスが似合っているサトエリ。キャバレーにいかにも場慣れしていない八嶋。このふたりがどういうわけか夫婦になってしまう、というお話。
これ、関西弁だから成り立っているお話だと思うんですよ。標準語でやったら面白くもおかしくもないんじゃないかな。いや、これ、褒めて言っているんです。言葉は映画の重要な構成要素ですからね。或るシーンが冴えるか冴えないかは、言葉によっても大きく左右されるのですから。関西弁でゆるゆる進むところに、精妙な味わいがある映画。
ホステス業が板に付いたサトエリ。仏壇具店のボンボンである、そして高校教師という堅実な職業に就いている八嶋。その二人が突然、従来の生き方に背を向ける。愛の暮らし、ですよね。楽しいけれどどこか哀しい。
「あなたの優しさだけが怖かった」って歌詞の流行歌がむかしありましたっけ。この映画を見ていて、なぜか思い出してしまった。
佐藤浩市の役どころも、なかなかいい。怖い愚連隊とかヤクザとかになりそうでならないところが、味わい深い。