昔、この映画を観て「やられたぁ」と思いました。
その後、原作小説を読んでさらに「参った」と思いました。
なので、今回改めて観てみたらどうなんだろう、と不安だったのですが、すべては杞憂でした。この映画「やぱりすげぇ」です。
とにかく人間がしっかり描かれているというのが素晴らしい。
賭け事を仕事と割り切り淡々と生きる出目徳。負け続けで後のない人生を送る上州の虎。ドサ健に惚れ込みすべてを捧げる女。女手ひとつで生きていくたくましいバーのママ。
そして圧巻なのはやはりドサ健です。
平気で仲間を裏切り、自分の女は捨て駒のように扱う。なのに憎めない生々しい人間臭さ。
原作の大ファンだという和田誠が、それら魅力的な人物たちを丁寧に描き、役者はその役を見事に演じきりました。
まだあどけなさの残る真田広之の初々しい坊や哲。
人生を達観したような風格のある高品格の出目徳。
ダメっぷり満載の名古屋章演じる上州の虎。
そして、圧倒的に魅力的な加賀丈史のドサ健。
原作にも言えることなのですが、この映画は出てくる誰もが主人公なのです。その辺、坊や哲を主人公に据えつつ、一方で狂言回しにも使っている脚本・演出がうまくいっています。
また、勝負のシーンの格好いいこと。
これは麻雀を知らない人でもきっと楽しめる映画です。
観たことのない人は騙されたと思って観てください。
嘘は言いません。
絶対にお薦めです。