このレビューはネタバレを含みます
第一次大戦直後、敵兵のドイツ人青年を殺してしまった若者は贖罪のために彼の故郷へと赴くが、家族にあった途端、その事実を告げることができず、、、
西部戦線異状なしなどでも言われているが、お互い出会った場所が戦場でなかったならば良き友人になれたかもしれない。
戦争に行かぬものは、安易にそれが「義務」だという。しかし、人を殺すことが本当に義務か?
人を殺した、と告白した時の絶妙の間、息子の好きなシナモンケーキのレシピを聞いて「次回からそうするわ」と、決して息子が戻りはしないのにそういう母親の言葉が胸を打つ。
こちらも相手も、殺せと命令するのはいつも大人。そんな連中が安穏と酒を喰らい、戦場では命が奪われる。
そして殺したものの責任。
その責苦を味わいながらもその事実を隠して、家族に幸せな日常を送ってもらうため、息子の代わりに生き続ける。
何が良くて悪いのかなど映画如きではわからない、戦争が良いのか悪いのか、そんなこと一言で言い表すことはできない。だけど、今この時勢にも通づる、非常に重く考えさせられる作品だった。