クリムゾンキング

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けのクリムゾンキングのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

飲み屋で出会った浮浪者然とした老人と意気投合し寅屋に連れて行ったはいいものの実は日本絵画の大家だったことから物語が動き出す。
旅先で再会し共に行動する中で芸者の牡丹を見初めた寅さん。東京に戻り夢現の状態だったところを牡丹が訪れるが、なんと詐欺師に騙し取られたお金を取り戻すために来ていたのだ。そこで寅さんがひと肌脱ぐ。

冒頭、ジョーズのパロディでは珍しく下半身食われた状態の人間が出てきて、男はつらいよでまさかのゴア!?とちょっとびっくり。

いつもと毛色が違うのがマドンナに恋するというストーリーではなく、マドンナのために漢気を見せるところ。

オープニングで満男の入学式のために帰省しお金を包もうとする場面や、自分のせいで甥が笑われるという不条理に腹を立てルーン寅さんの人情深さが泣ける。

義理と人情にあついけど不器用な故にいつも場を混乱させてしまうことをわかっているからいつも自分が去ることで場を納める姿は格好いいとはちょっと違うけど、不器用な寅さんだからこそ「不器用な格好よさ」になっていると思う。

そして大先生、静観の友情と人情を大切にしたい最後の計らいが、いつもの傷心で終わるのではなくさっぱり終わりしかも少しクスッとさせてくれるので観た後気持ちいい。

女気のないストーリーながらそれ以上に人間味のある話でとても良かった。もちろん時代錯誤とはわかっているがとても好きな作品。