新婚の舞台女優を横恋慕している医師（ピーター・ローレ）が、事故に遭ったピアニストの夫に殺人犯の両手を移植する。モーリス・ルナール著「オルラックの手」を実写映像化している、サスペンス映画。ピーター・ローレのハリウッドデビュー作。
恋愛相手を模した蝋人形を傍らに置いて、死刑囚のギロチン処刑をじっくりと観察する。そんな「職人脳」をもつ外科医師が、恋狂いを起こしたらどうなるのか。スキンヘッドのピーター・ローレが、静かに狂っていく男を表現している。
移植手術を受けた夫は、怒りの感情が湧き上がると無意識的にナイフを投げてしまう性質へと変貌。医師は苦しむヒロインを助けたい一心から、最終手段として移植手術を施したのだが、結局ヒロインから一方的に罵声を浴びせらてしまう。
外科手術は超一級だが、それ以外が全部ダメという、スキルポイントの振り分けに失敗した人間のジタバタ劇。中途半端なポンコツ具合とそこに付随する哀感が、ひしひしと伝わってくる。
