アメリカの60〜70年代のカウンターカルチャー世代を象徴する自由気ままな若者が、バイクで旅する中で、さまざまな自由や現実社会に出会って行くロード・ムービー。
麻薬の密売で大金を得たワイアット“キャプテン・アメリカ”(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)、途中からはアル中の若手弁護士ジョージ・ハンセン(ジャック・ニコルソン)も加わり、ニューオーリンズでの謝肉祭に向けてバイクで旅をするが、道すがら出会う人々を通して、彼らが体現する“自由”と、“自由”とは名ばかりの排他的で保守的な現実社会との格差を目の当たりにして行く。
ステッペンウルフ“ Steppenwolf ”の♪Born to Be Wild ♪の曲と共に名を馳せる本作は、自由なアメリカをイメージさせるカルト的逸品。
『イージー・ライダー “EASY RIDER”』の意味は、元々アメリカ南部のスラングで、売春婦のヒモ的なことを言うらしい。
映画では、売春婦ではなく、麻薬に依存している様が描かれているが、作品本来の意味とは違っているように思う。
この映画が伝えるところは、ジョージ・ハンセンが言う“自由”の本質だ。
“自由”を語ることと、“自由”であることは別物。
大金をバイクのタンクに隠し、2人か旅に出る際、ワイアットが腕時計を捨てるシーンは、この先何物にも縛られない自由を得た姿として映し出される。
そして流れる♪Born to Be Wild ♪
彼らは大金と自由を手にしたのだが、野宿を余儀なくされるなど、排他的な現実社会から受け入れてもらえない。
社会は、彼らが体現する“自由”を受け入れることが怖いのだ。
そんな彼らが行き着く先は、退廃的で、破滅的。
映画が公開された1960年代末のアメリカ社会が、如実に反映されている。
21世紀の現在、同じ映画が作られても、こうは響かないだろう。
主役の2人とテリー・ザザーンが脚本に携わり、デニス・ホッパーが監督、ピーター・フォンダが制作に名を連ねる。
場面の変わり目やニューオーリンズでの画質、トランス状態の表現などが独特で、作中に流れる音楽の使い方も面白い。
ストーリーと編集の効果がマッチした作品。
ジョージ・ハンセンの「ニック、ニック」って、何なんだろう…。