冒頭、カセット音楽の流れるヘリコプター内。兵士達7人が語らう様子でそれぞれの個性と関係性が伺える。ゲリラの拠点での銃火器による圧倒的な勝利が、この部隊の有能さを見せつける。
「暑い夏に現れて人間を狩り、その頭蓋骨でトロフィーを作る悪魔」
「悪魔」がジャングル奥地の原住民ゲリラから伝説として語られる不気味さ。吊るされた惨殺体。何物から狙われているのか分からない兵士たちの恐怖が伝わってくる。
部隊がジャングルを歩いているだけなのに目が離せない。ラタンヤシの細い葉の並ぶ隙間から兵士たちが見える。まるでこちらがその姿を覗き見ているような感覚。そこに悪魔の「視線」がシンクロし緊迫感が増す。
目には見えない悪魔。部隊の火力を持ってしても仕留められず、狩られていく仲間の兵士たち。断末魔が響き恐怖がいや増す。
追い詰められ、原始的に獲物を仕留める知恵で戦う主人公の前に、姿を現す悪魔。その姿かたち以上に好戦的で残忍で「獲物」を痛ぶる異常さに戦慄する。
「お前は一体何物だ」
悪魔とは何だろう。人智の及ばぬものを畏怖する心を人が忘れ去った時、それは何処からともなく現れるのかもしれない。シュワルツネッガーの肉体とアクションを楽しむ以上に、そんな事を考えさせられた。