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ハプニングのuedashinjiのレビュー・感想・評価

ハプニング(2008年製作の映画)
4.5
映画の中で「風が吹くと人が自殺する」ということが起こると、観客は「それが起こった」と信じなければならない。

この人の撮るものは、主人公が信じていた物語をサッと別の物語に置き換えてみせたり(アレとアレ)、置き換えた先が神さまの思し召しでそっちを信じろって言うのかよと思わせたり(サ×ン)、あんまりな話を登場人物全員が信じてその通りことが起こるのでノープロブレムだったり(レディインザ××ーター)、いつも「人は物語を信じる」ということが手品のタネになっている。何度も犬が映るでしょう?犬は人がとつぜん演技しはじめるのが理解できない。それをそのまま映してるんですよね。犬も喰わないフィクションを人間が信じる不思議というわけで、シャマランもそれが不思議なんだろう。

そして、クライマックスは「あれ?なにも起こらない?」ということが起こる。やりたい放題か。これは、シャマランのピークだと思う。

工事現場のあれはモンティパイソンの窓の外をつぎつぎ人が落ちるスキットそのままで(○○だ!って名前を言うし)、拳銃自殺の連鎖しかも腰から下しか映さないとか、園芸作業員が○○○とか、グリーンの説得を試みるとか、ばあさんが突然怒るとか、絶対狙ってる。災厄の背景を全部セリフで説明してるのも「この世界では、突然セリフで真実が語られる」っていう設定で遊んでるだけで(だから、あの黒人の少年がとーとつに愛についての真実を語る)、つまり大きな声でいいたいのだけれど………これ笑うヤツだから! 

ただ、何度か見てると、マークウォールバーグがこんなに下手だったかと思わせるほどよくなくて、アップがすごく多いのにぜんぜん「その人」を見ているという気がせず、ズーイーデシャネルもはじめは面白いと思ったけどちょっと場違いに可愛くやりすぎで、ジョンレグイザモはすごくよく、行きずりの人たちもすごくいいのに、惜しい。
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