面白い。
ただこうした独自のタイムトラベルものを観ると、必ず小林泰三先生の傑作「酔歩する男」を思い出してしまう。「バタフライエフェクト」は余韻のいい作品でしたが、「酔歩する男」は目が回ってクラクラしてしまう。あれほど衝撃を文字から受けた経験はそうないと今も変わらず思う。本作の様な作品が好きな方は未見でしたお勧めですが、まま小林先生の話は別にしておいて。
映画冒頭で、若干置き去りにしつつグイッと映画に引っ張り込まれる作りが素敵。中盤くらいから話が繋がり始めるとあっという間に見れてしまう飽きさせない映画。前述したとおりラストも素敵です。何本か撮られたENDもやはり本編で使われていたものがあたくしは好きかな。愛しているからこそ手放すって切ないじゃないですか。
鼻血が出まくるからそれで最後どうにかなっちゃうのか心配はしましたけど杞憂であったようです。でもそうすると別に出なくてもよかったのかなとか思ったりもするけど、恐らくタイムトラベルの代償を目に見える形、体への負担として見せているので効果的なんですかね。
同じタイムトラベルもので以前観た『アバウトタイム』は主人公が美味しいように美味しいようにやり直そうと言う印象がぬぐえなくて、あたくしはまったくもって共感しかねたのですが、本作は違う。主人公は常に誰かのために動いてる、出来るだけ多くの人の幸せを願うために最後ああなるのだから、ご都合主義かもしれないけれども良い。そういう優しい主人公が好きだ。そのために、優しさ故につらい言葉を吐くあのシーンは印象的で目頭も熱くなるもんです。彼は学ぶから、同じ過ちを繰り返さないためにも、ラストは立ち去るんだ、と。
好きな映画です。