髙田由美

眺めのいい部屋の髙田由美のレビュー・感想・評価

眺めのいい部屋(1986年製作の映画)
3.5
誠にイギリスらしい作品。オースティンファンにはお勧め。

くすんだ色彩の美しい映像。どのシーンも古い絵画を見ているようでパケ写のイメージが損なわれることはない。
正直ストーリーにはあまり深みがなくて、よくあるイギリスの定番ドタバタお貴族ラブストーリーだ。映像に対して中身は軽い。
ドレスにお茶会、籐籠を持ってパラソルさしてピクニック。そんな世界が大好き女子には嬉しい作品だと思う。

ジョージとセシル、二人の真逆の男性が登場。二人とも大した経緯もなくあっさりヒロインを好きになるのだが、そもそも若い娘はヒロインしかおらず周りはガッツリ婆さん達で固められている。あっさり好きになってくれた男子達はこれまた少女漫画ばりにヒロインに対して都合よく、10代の乙女であれば素敵!と憧れるシチュエーションだろう。
残念ながら酢いも甘いも噛み分けた大人の私にはロマンスの部分は楽しめず、脇を固める婆さん達の個性を楽しむばかりであった。
というわけで、この頃すでに超ベテラン、貫禄のマギー・スミスとジュディ・デンチに一票。
ヒロインを演じるヘレナ・ボナム=カーターは今ではすっかり個性派女優。奇抜な格好にぶっ飛んだキャラでおなじみだが、この頃は普通に可愛い娘さん役で新鮮(なにしろ恋愛映画のヒロインなのだ)。それを拝めるだけで観る価値あったかな。
髙田由美

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