はるちゃん

武蔵野夫人のはるちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

武蔵野夫人(1951年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作者の大岡昇平作品にいくつか好きなものがあるので鑑賞しました。が、やはり不倫の話は私にとってはあまり面白くなかったですね。

「天候(自然描写)という心象風景」は溝口健二監督の得意手法と解説の四方田犬彦さんが言っておられました。

どの辺りまでが監督の演出なのか知りたくて、原作と原作を元にした福田恒存の戯曲を読んでみました。確かに、勉と宿泊せねばならない状況になるために嵐が来る描写はあるものの、勉と夫人の関係を描くために天候が変化する場面はありませんでした。

原作者の大岡昇平は、福田恒存の戯曲については「勉を主人公としての主人公にしてくれて感動した」や「勉に『自由』という理想を与えてくれたのは福田氏」等のコメントがありましたが、溝口監督の映画に関しては、どのように思っていたのか分かりませんでした。余談ですが、大岡昇平の随筆集「作家と作品の間」に「(略)というのは、その女主人公がその風景を見るときの気持ちが、そこに映っているからなのです」とあり、これは三島由紀夫の「宴のあと」に対して解説している部分からの抜粋ですが、岩塩の描写に関して「感傷の誤謬」に言及があったというくらいで、あとのことはさっぱり分かりません。

映画の「開発された自然描写」で夢から醒めるラストがとても好きなのですが、これも映画オリジナルなのでしょうか?ちょっと何となく、シャマラン監督の「ヴィレッジ」を思い出しました。

GHQの検閲に関しては、抱き合う場面と握手をする場面の演技指導だったとのことです。 

メモ
大磯町立図書館 大岡文庫に大変お世話になりました!大岡昇平の蔵書があったのですが、ナターシャ・キンスキーさんのファンでいらしたんですかね?彼女の本があったので。