いわゆる「文明の衝突」を描いた作品。冒頭で「イスラム世界との融和はありえない。イスラム教徒が異教徒に求めるのは改宗、そうでなければ死を、です」みたいな話をいきなりラッセルクロウがするのでガツンとやられる。
差別的と言われればそれまでだが、アメリカ的世界観でいえばこれは全く正しい見解だ。個々人の本音は別として、イスラムの世界観は「いずれ世界はイスラム教徒だけになるべき、現在はその途上にいるだけ」という匂いが確かにある。
暴力についての考え方(罰と拷問の違いの有無)が現地人とアメリカ人とではっきり違う点も強調されているが、皮肉なことに現地当局とCIAとで目的のために手段を選ばない(仲間を売る・見捨てる)という一点のみは共通している。
現場主義のディカプリオが、現場主義すぎてアラブのルールに飲まれていく一方、手の内を明かさず自分勝手にふるまう上司のラッセルクロウはそこそこうまくやる。アメリカ人同士のこの対比も面白い。
一般的な評価はそんなに高くないようだが、割と好きな部類に入る映画。