くりふ

フラッシュ・ゴードンのくりふのレビュー・感想・評価

フラッシュ・ゴードン(1980年製作の映画)
4.0
【天空のディスコ】

これ、好きなんですよねぇ(笑)。久しぶりにみ返してしまった。

公開当時、ポーリン・ケイルが「Disco in the sky」という称号(笑)を本作に与えたそうですが、見事に言い当てていると思います。

怪物プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスによる、あらゆる点でスター・ウォーズを超えろ!という号令で作り始めたが、監督以下誰もそんなこと思ってなかったのが如実にわかる仕上りです。

撮影時、毎日ラッシュで「なぜスタッフは皆、みるたび笑う?」と、ディノさんは監督に聞いてきたそうで。彼だけは本気だったのね(涙)。

個人的感覚で言えばこれ、踊らぬボリウッドムービー、クイア風味。で子供向けのお話なのに、演出は大人向けというターゲット折衷映画。

フラッシュ役、一発屋サム・ジョーンズのヌケ感がいいですねー。ここまでネジゆるんだ佇まいのヒーローって、珍しいと思う。『テッド』によると最近は、一発屋ブランドン・ラウスとワンルームマンションで暮らしているそうですが、元気かな?

相手役メロディ・アンダーソンは、サムよりはスターですね。何せ『ゾンゲリア』に出演してるし!あっちで胸、出してなかったか?本作では、皇帝ミンに操られてのエア・ペッティングが素晴らしい!

そんな主演カップルは置いといて、他が豪華に下支えしていますね。ディノさん手配の欧州勢による脇固めが凄い。なんて無駄遣い(笑)。

特に、マックス・フォン・シドーの余裕綽々は何度見ても楽しい。演じている役は、怪しい中国人キャラですけどね。ミンミン。

しかし私の激押しは、悪女な姫君を演じるオルネラ・ムーティ!

フェリーニという名のコビトを連れ、フェロモン激撒き颯爽と登場。とろりと見せかけ獲物を狙う眼差し。男を溶かすために実った唇。極めて低い体表隠ぺい率の、ビカる姫ドレスが素敵なのは無論ですが、よそ行き服がまるでドラァグクイーンなところも大ッ好きです!

でも「穴掘り虫」って拷問された言うけどなんで話だけなんだよ!どこ掘られたか気になって寝られんわ!…となるのが本作一の欠点!

最大の魅力は、タガが外れたような美術・衣装でしょうね。フェリーニ組で、ゲイであったダニロ・ドナティが担当したそれは、SFの異世界というより、新宿二丁目の裏道に開いたウサギの穴から、落っこちたら先が、そっち系不思議の国だった!みたいな泥酔感。

リッチかチープかよくわからん、とにかくギンギラギンのカーニバル。赤と金と赤と金と赤と金と赤と金と赤と金と赤と金ッ!こんな中で暮らしたら目を悪くするね。少なくともアタマ痛くなるね。

衣装にちゃんと、ゲイ・センスが効いているところが斜めに楽しい。前述したオルネラさんもいいけど、当然主役のフラッシュは遊ばれる。

処刑の危機!でわざわざパンツいっちょになると、それは黒革!いやんクルージング!彼には臍まで切れ込むTシャツも作ったそうで、さすがに監督は却下したそう。

でも折角、音楽がクイーンなんだから、フレディ・マーキュリーがそれ着て出れば、貴重な画となったのに!

あと今回知ってギョッとしたのは、本作は当初、ニコラス・ローグが監督する予定だったとのこと。受けてたら崩壊したんじゃないか?

マイク・ホッジス監督は、美術が脚本無視で怒涛に進む中からの、途中参加で、流れに身を任せるように(笑)、監督したそうな。おそらく史上もっとも金のかかった即興映画だろう、と語っています。

クイーンの主題歌は、空耳の宝庫であることも特筆すべきでしょう。最後にそれを並べ讃えて、終わりたいと思います。

♪背広でユニットバス!
♪いっせーので笑わす!
♪金曜日パソコン!
♪ゴールじゃなぁなぁなぁぁぁい!

<2013.4.9記>
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