菩薩

狂気のクロニクルの菩薩のレビュー・感想・評価

狂気のクロニクル(1964年製作の映画)
4.1
幻想の魔術師、チェコが誇るアニメーションの巨人カレル・ゼマン。日本じゃどうしたってシュヴァンクマイエルの陰に隠れがち、なんて言って自分も『クラバート』しか観てないくせに、のうのうと松濤美術館で開催された回顧展に繰り出した事がふと思い出されます。シュヴァンクマイエル特有のエログロもなく、限りなく万人向け、お子ちゃまでも安心して楽しめると言うか、お子ちゃまの頃からこの様な作品に親しんでおくのは教育上とてもよろしいかと、なんたって出てくる女性のお乳が皆さんたわわ。吹く風に、コロリと変わる忠誠心、ならばいっそ、道化の如く。と、30年戦争と言うシビアなテーマをユーモラスかつファンタジックに描いた傑作、しかし根底にあるのは真摯な風刺・批判精神。人は争いを生み、争いが戦争を生み、戦争が歴史を作るのであったとしても、剣よりスープを選びたい、そんな人間で、僕もありたいと思います。
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