theocats

黒いオルフェのtheocatsのレビュー・感想・評価

黒いオルフェ(1959年製作の映画)
3.0
ネタバレ
本家オルフェオ悲劇を知っていても微妙かも

享楽性そのものの体現、リオのカーニバルにギリシャ神話・オルフェオの悲劇を組み込んだ作品。
なんて言ってはいるが私自身ギリシャ古典の教養は殆どないので、本作の筋立ても今一つぴんとは来ず困惑したのが本音。

序盤、サンバBGMと陽気な演出は楽しいのは間違いないが、オルフェが元からの恋人がいながらどこか素っ気なく、ユーリディスという新顔の女の子に移り気になるのは、その時点で節操なさすぎだろ!と嫌悪感。
それにユーリディスが死神に追われていると怯えるエピソードも何のことだかさっぱりわからない。

カーニバル当日の悲劇描写も秩序だっているとはとても言えず、行き当たりばったり的な印象。
おまけに彼女の命を奪ったのがオルフェの過失とあっては、確かに悲劇ではあっても間抜けとしか言いようがない。(←それこそが〝死神”の導きだったのだろうが)

その後の冥府からの彼女の蘇りの場面も、ブラジル呪術的色合いを帯びていて〝荘厳な神秘性”を醸し出す意図は端からなかったようだ。

でもあれだねエンディングも含め〝白いギリシャ悲劇”が南国で陽気な黒人によって演じられると現実はこんな感じになるんですよー。という一つの試験的ミュージカルを見させてもらったと思えば意義は確実にあった。

それに最初の方でオルフェが弾き語りした唄はとてもよかった。

総評三ツ星

002010
theocats

theocats