きゅうげん

マッドマックス/サンダードームのきゅうげんのレビュー・感想・評価

3.9
やっぱりジョージ・ミラーの根っこには「寓意性」や「神話性」があるんだなぁ、と再確認できる作品。

政治陰謀劇に振り回される前半と、野生児共同体に振り回される後半。マックスはどちらも闖入者として活躍します。
やはり『2』や『デスロード』と同じく、漂流する英雄像に裏打ちされたもので、このヒーローイメージは、ーー市川崑が金田一を「天使」と表現したことと似たーー超然的立場から事件へ途中参加し事態を解決へ導く一方で、主人公としてのパーソナリティもその展開へ綿密に関わるという、不思議な性格・構図のあるものだと個人的には感じます。

大人の事情でティナ・ターナーを殺せなかったり、他メンバー置き去りで新天地めざしたり、サンダードームがジャニーズの舞台公演っぽかったり……と内容が振るわないうえ、シリーズ十八番の世紀末カーアクションが削減され、やっぱり不満も……。
しかしその分、組織内の権力闘争とか持続可能なエネルギー社会とか、純真無垢なカーゴカルトとか大列車スペクタクルとか、映画的な楽しさが前景化されてる印象。
鈍さ・緩さも含めてファミリームービー化してるといえるかも。

あとジョージ・ミラー、やっぱ動物の扱い方うますぎ。
スピンオフ『フュリオサ』、めっちゃ期待してますからね!
V8!!!