Sari

早春のSariのネタバレレビュー・内容・結末

早春(1970年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2018/02/08 名古屋シネマテーク

冒頭から流れるRockをバックに自転車で道を疾走する主人公の青年。
舞台は60年代イギリス ロンドン。
時代特有の空気感と共に、青年の抑圧された衝動と重なり引き込まれる。
年上の女性へ恋心を抱きエスカレートする執着心。
こういう童貞君ストーリー自体は元々それほど好きでは無いが、単なる青臭い青春物で終わらないカルト映画で面白く、92分があっと言う間だった。

ポール・マッカートニーの元GFジェーン・アッシャーが美しい。
オレンジの髪に黄色のパテント素材のコートを靡かせ、足元のブーツで完璧な60年代ブリティッシュ・アイコンスタイル。
プールのシーンで脱ぐと、黒と赤の上下バラバラな下着姿が露わになり、媚びない大人のオンナと言う感じで格好良い。

その他大衆浴場の緑の壁、わざとらしい程に赤いペンキとか、POPな色使いが目に焼き付く。
ゴダールの『気狂いピエロ』を連想させる色使いにやられる。

ラストに向かいどんどん狂気に変わる青年の執着心。
坂を転がり出し、一旦狂った歯車はブレーキが効かないのだ。
そしてプールでの惨劇。
この後味の悪いラストに心鷲掴みされた。
大好物。
Sari

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