昼行灯

宮城野の昼行灯のレビュー・感想・評価

宮城野(2008年製作の映画)
3.2
美術が池谷仙克ということでみてみたが、ストーリー構成がだれていたのであまり好みではなかった。回想の繋ぎとか、会話を無音で撮ることの意図がよく分からなかった。
陰影と彩度の強さによって色彩が影に滲んだような画面は艶っぽくて好きだった。

あと、浮世絵で空間のなかに平面をいくつも配置する演出は、リアリティを失わせ、物語性を強調していたと思う。平面で構成された世界を登場人物が動く際や、三味線の演奏シーンなどの黒子の存在も人物が物語のなかで動かされている感じに一役買っていた。

篠田正浩の『心中天網島』を思い出さずにはいられない。この作品と本作の相違点は、前者が浄瑠璃と映画の融合だとしたら、後者は加えて歌舞伎の要素も入っている点だと思う。
昼行灯

昼行灯