原題の“ナイルに死す”がいいに決まっているのに、安直な邦題が無粋でガッカリする。
お約束のオールスターキャスト、大がかりなロケを敢行し、全面に大作感が満載だ。
しかし、ポアロ役の“ピーター・ユスティノフ”はこれまで演じてきた役柄から、私的には荒くれ者のイメージが強くて適役とは言い難くしっくりこなかった。
原作が傑作なので、映画としては破綻はないが原作を越えるまでには行っていない。
そもそも、短編でもムリなのに長編を2~3時間の枠に収めるのは不可能で、必要な部分をカットせざるを得ないのは分かりきっている。
この事が原作ファンの失望につながっているのだ。
ならば、原作にこだわらず、原作とは別物だと考えてナイル観光をした気分を味わった方が得策だろう。