改題短縮再公開版の『風雲児信長』。フィルムがボロボロで何を言っているのかわからない部分が多いが、見ていれば大体わかるし、肝心な部分はちゃんと聞こえる。
信長の若き日の話で、竹千代(のちの徳川家康)との疑似親子っぽい演出が核になっている。当然本能寺など出てこない。
史実では信長と竹千代は9歳差なので本来なら親子になどなりようがない。信長役の千恵蔵が歳を取りすぎていて(当時30代後半)、竹千代が子役なので開き直ってそういう設定にしたのだろう。逆に信長の教育係の爺は志村喬で、実は千恵蔵とほぼ同世代。
お祭りの場面や婚礼の場面がミュージカルっぽい盛り上げがあって、戦時中に自由に映画が撮れない鬱憤を晴らしているような感じがある。
宝塚退団から間もない宮城千賀子が濃姫で、あまり映画慣れしていないのを逆手に取って、何を考えているのかよくわからないマムシの娘に仕立て上げていたのがよかった。