スローモーション男

赤西蠣太のスローモーション男のレビュー・感想・評価

赤西蠣太(1936年製作の映画)
4.2
 伊丹十三の父親である伊丹万作の作品初鑑賞!

卒業論文のテーマを伊丹十三にしようと思ってるので、この作品も調査の一貫として鑑賞しました

とある大家に潜入しているスパイの侍赤西蠣太の物語。

1936年の映画としては思えないほどスピード感のある時代劇。そして時代劇っぽくないサラリーマンたちの物語みたいでした。

冒頭の猫が何度も部屋に入ってきて赤西蠣太が追い出すというシーンからキャラクター性の面白さとシークエンスの面白さがあります!

伊丹万作という人は省略法を多用するのだと感じました。伊達騒動の物語なので、原作の志賀直哉の小説では殺人などのシーンがありますがそれを悲鳴だったりで間接的に描写する。
また伊丹万作は物語が前進していくことでドラマをどんどん面白く見せていく!
これは伊丹十三にも引き継がれましたね!

伊丹万作の作品は現存するものが少なく、すべて残っている作品はこれしかないのが残念です。
この作品も映像が古くて何が起きているのか分からないシーンが多くありました…。
観れるものは観ていきたいです。
やはり「この親にしてこの子あり」ですね!