マーティン・スコセッシも崇拝する篠田正浩(※スコセッシは『沈黙』をリメイク)によるATG提携作品。
これがカンヌでパルムドールにノミネートされていたとは驚きだ。同じく篠田監督のATG作品『心中天網島』の研ぎ澄まされたその傑作ぶりとは打って変わり、全編滑り倒しのギャグを見せられているような感覚の珍作。
傑作は宝石の如くまばゆい輝きを放つATGだけに、滑った時のATGほど観ているのが辛くなるものもない。
これはあくまで極私的な例えだが、『心中天網島』が『ヘレディタリー/継承』だとしたら、本作『卑弥呼』は『ミッドサマー』かもしれない。好みはそれぞれではありますが。