るるびっち

ムカデ人間のるるびっちのレビュー・感想・評価

ムカデ人間(2009年製作の映画)
4.0
9割くだらないが、ムカデ被害者の最後の台詞で解らなくなった。
もしやギリシャ悲劇『オイディプス王』に匹敵する名作ではないか。
体こそ改造されていないが、どうやら鑑賞中に脳みそが改造されてしまったかも知れない・・・

人間を三人繋げて『ムカデ人間』を作るという。
5歳児のような無邪気な発想。
それがどれほど恐ろしいか。
この世で一番の恐怖は、幼児の発想という証明。

先頭のムカデ男は日本人だ。
彼の台詞は翻訳していない。
日本語だから勿論解るが、海外ではどうなのか?
海外版では、ちゃんと彼の台詞を翻訳しているのか?
しなくても問題ないと監督は思っていないだろうか?
大いに問題である。
何故なら、彼の最後の台詞が感動的だからだ。
日本人の台詞は役者当人のアドリブだという。
最後の台詞も彼の案なら、本作の功績はほぼこの役者にある。

『オイディプス王』は、身勝手な神の行いによる不条理に抗おうとする人間の尊さを描いてる。
本作も『ムカデ人間』を作るという、まったく意味不明な不条理に命の限り抗い、神のような狂人医師に対し最後の瞬間、これでも人間だと言い放つ。人間の尊厳を奪う歪んだ神に敢然と抗議するのだ。
尊い!!
もしや『ゴドーを待ちながら』に匹敵する不条理劇では??
狂気の作品に、すっかりこちらの脳もショートする。

監督も、意外と素晴らしい面がある。
狂人医師が何故、これほどムカデ人間にこだわるのか殆ど描かない。シャム双生児の剥離手術の大家なので、反動で繋げたいのだろう。だが、それでは説明付かない異常な情熱なのだ。
邦画だとすぐに回想を入れて、子供時代から様々な虫や小動物を繋げていた。幼児期の教育虐待が異常人間を生んだのだ、という安易な説明をつけてしまう。
それではこの男の不気味さを打ち壊してしまう。
何でも説明すれば良いというものではない。
彼はこの世界では神なのだから、人智の及ばぬ存在なのだ。
そこを見越してだろう。単に何も思いつかなかった訳ではない・・・
いや、ワザと説明しないのよね? 忘れてたとかじゃないよね??
ムカデ人間は真ん中が一番辛い。真ん中は何も出来ない。
人間としての尊厳だけでなく、動く方向さえ決められない。
それを見据えたラストは、ただのアホ映画ではない証明だろう。

PS
3を観ると、ただグロとクソが描きたいだけの助長なクソ監督と判明。
1の感動は日本人俳優の功績らしい。儲けは全部この俳優に還元してやれよ。前文の意見はトイレに流して。脳が糞詰まりしてたみたい💦
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