高橋早苗

チェ 28歳の革命の高橋早苗のレビュー・感想・評価

チェ 28歳の革命(2008年製作の映画)
4.3
1952年 3月 バティスタ
軍事クーデター 政権掌握

1956年 11月
メキシコを発った老朽船に乗り込んだ同志 82人
そのうち
生きて勝利をみたのは 12人


…ひとつびっくりなのは
彼が喘息持ちだってこと
それでよく、眠らずに山野を歩き戦えるなぁ
って、言ってるこっちはかなり能天気目線だろうと
自分でも思うけど(笑)


『実際の戦闘で
 最後に物をいうのは
 1名の無名兵士によって増幅される
 “隊の底力”だ』

戦いを志願し 集まってくる若者に
読み書きを学ぶよう諭し

一方で “裏切りの報いは死だ”と
脱走兵には容赦ない


戦いでは
後方から指揮するわけではなく
先頭切って飛び出していく


バズーカ砲? 2発外した兵から取り返すし
自分で撃っちゃうし ヒットするし

フィデルにも
「最前線で戦うのはやめろ」
とクギを刺されるくらいで(笑)


もうひとつ、印象的なのが
握手

初対面の相手に 握手を求める様子が
何故かとても 彼らしいと感じる


『我々は 農民を尊敬している
 だから 作物は盗むな
 農民やその家族にも 危害を加えるな』

…医者でもある彼が
負傷兵20人を任され 戦線を離れた時には
農民たちが列を作った

「悪い所はないの
 ただお医者を見たことがなくて」という者にも
「今日から私があなたの主治医だ」
と応えてやる

・・・慕われるはずだよな。と思う
後に、この時の経験を
『“真の革命戦士”に成長した』と
本人が振り返っているように

歩を進めるにつれて
皆に慕われ
頼られ
革命になくてはならない存在に
なっていく


『資本主義体制では
 人々は
 見えないオリに囚われている

 例えば人は
 苦労人の成功伝説を好むが

 分かっていない
 成功のチャンスは
 目に見えぬ力が決めているのだ』

…ちょっと長くて
お尻痛くなったけど
もう一回観たいなんて思ったのは

 いまの時代と同じだなぁ

と感じたから


 革命を、と
 銃を手に進む彼の姿と

 いまの
 壊れゆく資本主義経済と

な~んか、妙に ダブって見えるよ。


『祖国か、死か』
1964年
国連に招かれた時の演説でも
この言葉で締めていたね

“隊の底力”と称した
「なぜ戦うのかをよく理解した兵士たち」
・・・彼自身にも明快な
「戦う理由」があり
まっすぐにその道を突き進んだ


戦いの話なのに
何故か気持ちよく観れてしまうのは
そのまっすぐさ、なのだろうか。
高橋早苗

高橋早苗