清朝最後の皇帝であり悲劇の人・溥儀の人生を追った大作。伝統的な中国様式の建物や豪華絢爛な衣装だけでなく、溥儀の怒涛の人生や戦争によっておかしくなる周囲の人々の混乱と悲しみも描かれていて、3時間を超える長編とは思えないほど夢中で観た。好きなシーンは結婚式の時の真っ赤に彩られた式場の様子。豪華な装飾とは裏腹に地面が草が伸び放題でお世辞にも美しいとは言えなかったんだけど、あれに意味はあるのか、単に私と監督の趣味が合わないだけか……。正妻と側室との仲がとても良かったのも意外だった。これが清王朝絶世期なときだったら話は違ったんだろうな。
溥儀はまさに世界に翻弄された悲劇的な人物だけど、最後まで皇帝としてのプライドが邪魔をして目の前が見えていないような人でもあった。日本に逃れた後も「皇帝」の夢を捨てきれなかったし、投獄されて王位など無くなった後でも使用人に靴紐を結ばせているし……。
後半は王朝から離れるので前半より色味が少ない。それほど朝廷での暮らしは豪華絢爛で、滅亡寸前の紫禁城でさえこんな贅沢な暮らしが出来たのかと不思議に思うほど。服もそうだけどやっぱり中華系メイクは色っぽくて最高。
