Suisui

ワンダフルライフのSuisuiのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダフルライフ(1999年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

是枝監督著書の「映画を撮りながら考えたこと」でこの作品を知った。

ナニコレ。

私は、小さな頃からファンタジーを観て育ってきたからなのか、ドキュメンタリー(自己表現の欲求にカメラを向けることby小川紳介監督)がどうしても苦手。ムズムズしちゃう。

でもこの作品を観て、その感覚は悪いものではなく、寧ろそれこそが映画の本質である気がした。
著書でも言っていた通り、役者ではなく素人を撮るからこそ、不意に出る動作や言動、思い出の再現のシーンの「ハンカチはどう持ってたかしら」なんていう一言が、リアルを生成してた。音、空気、服、靴、雲、翼の位置、全部を細かく指示して思い出を再現する人達の表情にドキドキした。この映画の一番の魅力だった。

それと、作中ずっと伊勢谷に共感してた。
っていうか、ずっと死にたく無い1秒も衰えたく無いって思って何回か泣いた。
「人生で大切な思い出を一つ」
3日で選べるわけない。
一つに永遠と住むならば、私の人生の映画を作ってそれを一生観てる方が絶対幸せ。
思い出ってなに?
経験したことだから限りなく現実に近いけど、やっぱどっか良いように再形成されてるし。ねー、伊勢谷…本当に分かる!分かる!

死後の世界っていうファンタジー要素と、ドキュメンタリー的な、ノンフィクション的な要素が混ざっちゃってるこんな映画、初めて観た!
簡素で冷たくてカラスの鳴き声が聞こえるような背景なのに、暖かくなる。人って素直になれなくて可愛いなあってなる。

もう何を書き留めたいのか分かんないけど、オシャレだからとか、可愛いからとかそういうんじゃなくて、人の本質だけを映し出したこの作品がとても好きだった。観れて嬉しい。この作品に出会えて良かった。

今週は是枝監督の作品weekにしよっと。
Suisui

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