■ベルイマン監督、5時間越えの大作〜🎬■
5時間越えであるが、ベルイマン監督作品の中では比較的見やすい映画。
最後は、仮面がいっぱいのお部屋が出てきて、同監督の『仮面 / ペルソナ』的な内容も出てくる。
能面も出てきます〜🇯🇵
少年アレクサンデルが主役のベルイマン監督の自伝的作品。
少年アレクサンデルは、同監督自身のことである。
空想的な少年であり、時にヒステリー性の幻覚が見える。
本作の中で、アレクサンデルの義父となるベルゲルス主教は、同監督の実の父親のことを指していると思われる。
実際、同監督のお父様は牧師さんだったそう。
厳格な性格で聖書に書いてあることが正しいと言い、論理的かつ法に基づいて物事を解決するタイプ。
空想的なことや曖昧なことを嫌い、空想的なことを言えば「嘘をついた」と罰する。
実際、同監督の実父はベルゲルス主教の性格に近かったのではないか?
本作での母親エミリーは、自我が弱いタイプ。
夫を亡くした後の夜中の泣き叫び方は少し精神的な脆弱性を感じた。
ベルゲルス主教に取り込まれ、いつの間にか結婚することが決まった。
同監督の実母も作品の中のエミリーに近かったのでは?
私の中では、同監督は厳格で支配的な父親と弱い頼りない母親に育てられたイメージ。
そして本作の中で、二つの家、エクダール家と主教の家が出てくるが、明るい家と暗い家の対比がしっかり描かれている。
同監督の実家は暗い主教の家のような感じであったのに対し、明るいエクダール家は監督の理想とする家庭だったのであろう。
■「父親殺しの願望」■
本作では、最後少年アレクサンデルの「父親殺しの願望」が成就する。
その前に、仮面の部屋で出会った青年?が、アレクサンデルの中のもう一人の自分として父親殺しを手伝ってくれる。
アレクサンデルの「父親殺しの願望」が成就した後、「罪悪感」が和らぐようにもう一人の自分が手伝ってくれたものと思われる。
最後の最後までも、実父のイメージに近かったベルゲルス主教からの虐待的な映像が出てきた。
アレクサンデルが家の中でお菓子を食べながら歩いていたら、ベルゲルス主教がぶつかってきてアレクサンデルを転ばせるイメージ。
もしかしたら同監督が幼少期に受けた虐待のフラッシュバックが、大人になっても続いていたのでは?など思いながら見ていた。
実際、監督の実父は、ことある毎に実母や監督を含む兄弟たちに体罰を加え、狭い部屋に閉じ込めていたそうである。
暗いことばかり書いてしまいましたが、ハッピーエンドで楽しく見れる映画なのでおすすめです、長いけど、笑
(長さでマイナス1です)