ぽんぬふ

叫のぽんぬふのレビュー・感想・評価

(2006年製作の映画)
4.4
オープニングからして「見えない」ことの映画で、それをなんでも写しているように見えて何も写していないという映画のミスリードにつなげる。また、視線の反転とか鏡とかで「見えない」を「見られない」に逆転していく。役所広司がF18号の赤い服を見るときに服の主観の映像になって、役所広司が立ち去ったあとに少しだけ残るカメラのなまなましい怖さなど。「見える」のに「見られない」とは「忘れられている」ということで、人の記憶、土地の記憶、建物の記憶の深い暗部に次第に向かっていく。知っているはずなのに知らない、或いは知らないはずなのに知っているという理解を超えた恐怖。
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