序盤から松竹肝入りの野村/松本サスペンス大作、といった雰囲気濃厚でワクワクするのだが、ご都合主義の展開が目立ち、肩透かしを食らう。
特に島田陽子演じるホステスと森田健作演じる刑事の邂逅ならびに、大元となる容疑者の犯行動機が、どうにも強引。
駄作かと鼻白んだが、終盤にコンサート演奏場面と掛け合わせた、数十分に及ぶ一大回想絵巻が待ち構えていた。
単なる親子情愛では済まさぬ伝染病・差別迫害の恐怖と、人並みの幸せすべてに背を向けた放浪の孤立無援が、凄まじい告発力で迫り来る。
特殊メイクで撮影に臨んだ加藤嘉の役者魂にも、感服。
戦争と高度経済成長の狭間に埋もれた人々の怨嗟を背負い、代弁するかのようなマイノリティ残酷物語、これもまた日本の歴史の一端。