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インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説のjunjuoneのレビュー・感想・評価

4.2
アメリカ、そして娯楽というものに大きな興味を抱くきっかけとなった当作、初めて観たのは30年前。今回観るのも25年ぶりくらいだと思う。

昔観たときの興奮は褪せることないどころか、やはり映画娯楽の演出を極めた教科書のような作品だと改めて思った。


常人が題材にしたらB級C級の作品になりかねないコミカルな冒険活劇だが、映画の神に愛された才能、ルーカスとスピルバーグががっちり手を組んだら、隙を与えない完璧な娯楽作品になる。

それくらい、没頭させる要素にこだわり抜いた作り。


まずインドの村人の、エキストラのレベルを超えた喜怒哀楽の生々しさ、雄弁さ。
こんなに大勢に、よく緻密に演技させてるなと。

人間だけで無く、象にまでしっかり演技をさせて、ドタバタしたやかましい人間の主人公たち(役者たち)に対してよくストレスを感じさせず共存してるなと。

かたや先進国のハンサム白人代表、ハリソン・フォードの大根演技は映画に絶妙に小気味良い間を与えて娯楽性を絶頂の域に昇華していて、彼の存在が醸す狐につまされたような面白さに我を忘れる。


暗闇を這う巨大な蟲たちは、どう撮ってるのか。あのリアリティはモーションピクチャーではない。では、ロボット?それともリアル?

調べたところ、どうやら本物らしい。首に巻きつくニシキヘビも手に張り付いた巨大カマキリも本物!
後頭部に潜り込む巨大ムカデのおぞましい動きも見事だったが、さすがにあれはマネキンを使ってるだろうか。
いずれにしても女優のケイト・キャプショーの根性には頭が下がる。

同時に、限られたテクノロジーで凝らす迫真の演出トリックは、映画づくりの一番本質的なロマンを感じさせてくれる。


砕石ローラーぎわの一騎打ち、カーチェイスならぬトロッコチェイス、からの洪水、断崖絶壁、ワニ、橋、、

アクションシーン全てのアングルの切り替えが意図されていて、目まぐるしさよりわかりやすさの方がまさる。
しかもたたみかけるリズムが、観るものの脳の処理を絶妙に追い越してくれるくらいで、まさにベストの心地良さ。


樽の水をひっくり返したら洞窟内全て大洪水であっという間に絶壁に追い込まれるとか、、

序盤すすけた灰色だった飢餓に苦しむインドの村の画が、ラストで石を持ち帰った時にはすでに色彩豊かに復活してるとか、、

そういう、物量的、時間的な無理感というか可笑しさ。
エンディングへとむかう映画の演出は、このくらい大袈裟で先走りのリズム感でちょうど最高にドラマチックだ。


高校生が手作りしたなような純粋な作風を、金かけて表現できるスピルバーグの安定した強さが光る。


最後まで軽妙なやりとりを繰り返すインディとウィリーのキスシーンにインドの村の子供たちが群がるラストも、撮影の現場の空気感が作品の成功を物語っているようで爽快だった。
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