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ワン・プラス・ワンのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ワン・プラス・ワン(1968年製作の映画)
3.3
1968年5月のカンヌ国際映画祭をトリュフォーらと中止に追い込み、毛沢東主義へ傾倒して商業映画から遠ざかるようになるジャン=リュック・ゴダール監督の実験的な異色音楽映画。
アルバム「ベガーズ・バンケット」の1曲目に収められているロック史に残る名曲「悪魔を憐れむ歌 Sympathy for the Devil」。この歌をレコーディング中のローリング・ストーンズの姿を捉えたドキュメンタリー部分と、
政治的なフィクション部分が交互に描かれる。
原題:One Plus One  (1968)

(登場人物)
 ①ドキュメンタリー
(ザ・ローリング・ストーンズ)
・ミック・ジャガー 
・ブライアン・ジョーンズ 
・キース・リチャーズ 
・チャーリー・ワッツ
・ビル・ワイマン
(ピアニスト)ニッキー・ホプキンス 
②政治的フィクション
・革命のヒロイン、イヴ・デモクラシー(アンヌ・ヴィアゼムスキー )
・ヒットラーの「わが闘争」を朗読するポルノ書店の店主、ファシスト(イェーン・クォーリア 
・ブラック・パワー闘士(フランキー・ダイモン 、ダニー・ダニエルズ 、クリフトン・ジョーンズなど)

(政治的フィクション・シーン)
・ブラック・パワーの闘士たちによる都市の廃墟や海辺を舞台にした革命の運動風景(闘士エルドリッジ・クリーヴァーによる「氷の上の魂」の朗読、捕虜になった若い白人女性の殺害などを含む不条理劇)
・ポルノショップの中で捕らえられた解放戦線のユダヤ人
・森の中でインタビューに答える革命のヒロイン
・英国のブラック・パワーのリーダー、フランキー・ダイモンへのインタビュー
・ボリビアの革命家の声

(ゴダールの言葉遊び)
・THE STRO NESRO LLiNG→EONEON
ザ・ストーンズ ローリング 転がる石
・OUTSIDE BLACK NOVEL→LOVE
黒人小説を超えて →愛
・SiGHT ANOS OUND→SDSドイツ社会主義青年同名
・ALL ABOUT EVE →LOVE
イヴの総て→ 愛
・Hi Fi CTiON SCiEN CEONE→ONE
・THE HEART OF OCCiDEN T →LSDアシッド
・1 PLUS   1 MAKES 2→112
(1プラス1で2になる)
・iNSiDE BIACk SYNTAX  iN→iT
黒人の文章構成の内部で
・CHAN iN GES SO C iA TY→NEO
社会の改革 CIA
・UNDER THE ST ONE S THE BEACH→URSONS
石(ストーン)の下の浜辺

「全て時間のムダだった。
混沌から逃れねば…
GOODBYE,SO LONG.」

ドキュメンタリー場面でゴダールは、ストーンズを魅力的に撮ろうとしていない。
あくまでも、反体制的象徴として映画に登場させた。
それでも、ストーンズ・ファンとしては、翌年の1969年に脱退しその直後27歳で死去したブライアン・ジョーンズの姿が見られることや「悪魔を憐れむ歌」が徐々に完成していくリアルな過程が興味深いだろう。
フィクション場面は、アンナ・カリーナに次ぐゴダール第2のミューズとなった女優アンヌ・ヴィアゼムスキーの姿を少しの間だけでも見られるのがうれしい。
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