このレビューはネタバレを含みます
年齢的に子どもより親に感情移入してしまうせいか、序盤は母親に対するオスカーの子どもながらの残酷さに目がいった。
だが、次第にオスカーの感情の揺れ、抱えていたものが見えてくるにつれて、彼なりに父の死を乗り越えようとしていた事実、そしてそれは子どもが1人で抱えるには重た過ぎるトラウマであり、そこには母親に対する優しさや後ろめたさがあったことを知ることになる。
亡き父親との交流で培ってきたオスカーの行動力、それが母親、祖父、関わった人たちの人生を結果的に修復していく。
オスカーが父親の留守電をリアルタイムで聞きながらテレビ中継で父親のいるビルが倒壊する様子を見るシーンがあり、あれを見たあとにビルから落下する男性の写真を見つけて父親ではないか…と言ってみたり、父親が落下する姿をイラストに描いていたり、心理的にはかなりエグい描写だと感じる。
改めて無差別に危害を加えることの卑劣さを感じさせる作品ではあるが、やはりオスカーが母親に「お父さんじゃなくてお母さんならよかったのに(発言の後に「本心じゃないよ」とは言うが)」というシーンなどは子どもとはいえ少しキツい。
オスカーのキャラ設定次第でもう少し違う印象も与えられるようにも感じた。