Kota

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのKotaのレビュー・感想・評価

4.3
“パパの遺したものが分かれば生きていけるのに、知らない場所は怖すぎて、自分を抱きしめていないと壊れそう。今でも家を出るのが怖い、ドアの開く音が。余計にパパが恋しい、乗り越えたかったのに。”

[2018年100本目]節目ということで再鑑賞。5年前に観たときよりももっと深く奥行きがあり暖かい映画だった。アスペルガー症候群のオスカー(トーマスホーン)は9.11のテロで大好きな父親(トムハンクス)を亡くす。探検好きだった父親が遺したものは鍵。それが開けられる場所を探しにオスカーはNY中を走り回る。

オスカー目線で焦点が当たる街並み。橋の繋ぎ目や、ブランコの鎖、飛行機、地下鉄、叫び声や泣き声。そして電話の音。耳を塞ぎたくなるような“うるさい“世界を見事に表現。それとは対照的に静かに悲しみにくれる母親(サンドラブロック)とトラウマで話すことのできない祖父(マックスフォンシドー)。でもオスカーにとって本当に“ものすごくうるさくて、ありえないほど近い”ものはそんな彼女達の愛なんだよね。

やはりサンドラブロックが最高。自分の中でも一位二位を争うくらいすきな女優さんだけど、今回も彼女の演技は格別。オスカーに「ママが死ねばよかった」って言われた時は代わりに僕が泣いたし、もしかしてこれ母親も病んじゃうやつかなっておもったら後半の展開にはもう涙が止まらない。やっぱり母親は強かった。9.11を題材に「何か大切なものを無くしたこと」そして、「その心の穴を埋めていくこと」を少年目線で丁寧に描いた作品。
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