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フィフス・エレメントのmanacのレビュー・感想・評価

フィフス・エレメント(1997年製作の映画)
5.0
一応世界を救う的な壮大なテーマはあるものの、基本はB級アクション・コメディ。
内容は90分くらいで終わらせていいようなSFなのに、リュック・ベッソンが本気でかかると120分越えでも全然飽きさせずに観られた。
てんこ盛りエンターテイメント。

まだベッソンが監督として無名の頃から映画化の構想があったものの資金不足で実現せず、この映画の製作費を稼ぐために突貫で仕上げた脚本が94年『レオン』だと言う。あの名作がこの娯楽大作の為に急遽作られたってのも虚しい気がするが、結果的に『レオン』は大ヒット。湯水のように製作費を費やして本気を見せた本作は圧巻。

衣装担当はあのジャン=ポール・ゴルチエ。
未来感漂うサイケデリックな衣装の数々は見ているだけでも楽しい。ただし、主要キャラの衣装は割と簡素。主役が『ダイハード』のマクレーンなので仕方ない。
飛行機のCA、悪役のゲイリー・オールドマン等の衣装はザ・SF感満載。クリス・タッカーのど派手な衣装はいかにもゴルチエらしい。
彼のエレガントな衣装もとても素敵だけれど、やはりぶっ飛んだ衣装程ゴルチエの個性が生きる。

見せ場の一つであるオペラシーンの「The Diva Dance」はオペラ歌手が吹き替えを行っている。
聞惚れずにはいられぬ名曲。アメリカのオーディション番組でこの曲を歌った出場者がいたが、喝采を浴びていた。
彼女の歌に一部サンプリングを加えているらしいが、殆ど彼女が歌いこなしているらしい。よく分からないけれど、このオペラ歌手は凄いらしい。説明できなけど、聴けばその圧倒的な歌唱力に驚くこと請け合い。

そして豪華なキャスト。
ブルースは期待通りのダイハード的主人公。色んな役やっている人だけど、やっぱりブルースはマクレーンが似合う。ベタでもいい。
ゲイリーも期待通りのぶっ飛び悪役を演じてくれて満足だが、クリス・タッカーの個性も強烈でゲイリーが霞むほど。ギャーギャー煩いけど、あのマシンガントークは面白い。
ミラ・ジョヴォヴィッチが話す古代語はベッソンオリジナル言語だとか。オリジナル言語を作る程とはベッソンの本気度が伺える。そんな謎の言語を駆使するミラはまだブレイク前だったが、頑張って古代語取得して正解でしたね。
その他のマヌケなくせにプライドは人一倍のマンガロワ人や志高く使命感に燃えてはいるがどこか頼りない神父コンビ等、脇役に至るまでキャラ設定がきっちりできてる。

衣装やキャラクターのが丁寧に描かれているので、画面の隅々まで目が離せない。
至る所にベッソンの本気が垣間見えるので、何回観ても楽しい。
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