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ベネデッタのmanacのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
3.0
聖人か、狂人か

17世紀に実在した修道女ベネデッタの半生を描く伝記ドラマ。
とはいえ、17世紀の裁判記録を元にしたようなノンフィクションが原作で、裁判記録以外にどんな資料が残っていたのか、そもそもその裁判記録でさえあまり当てにはならないような気もする。

とにかく全編不謹慎。
超リアリストな修道院長フェリシタは神も奇跡も信じていないようだし、お金に執着している。
しかもその執着が私利私欲のためではなく、院の運営のためなのだから尚一層神の無力さが際立つ。
そうです、院を運営も人を救うのも、神の慈悲では何の足しにもならない。人々を救えるのはお金。

司祭ももちろん神を信じている様子はなく、聖痕の現れたベネデッタを利用しようとあっさりとフェリシタを修道長から下ろし、ベネデッタを修道長に任命する。明らかに真偽よりも聖痕の話題性重視な様子。

そして主役のベネデッタの罰当たりな行為の数々。
性欲そのものは罪ではないような気もするが、宗教上は罪なのでしょう。
同性愛や快楽に溺れるベネデッタ。
とどめにマリア像をディルドに加工して楽しむ始末。
さほど信心深くない形だけの教徒でさえ抵抗がありそうなものだけれど、そんなことはどこ吹く風なベネデッタ。

間違いなく、彼女は聖女ではないでしょう。
詐欺師と紙一重な狂人。
恐らく彼女に嘘をついている認識はなく、自分の妄想が現実と信じているというか、嘘も100回言えば本当になるというか、そんな異常性がある。
彼女の行動には迷いや悔恨が全く見られない。
どれだけ不謹慎なことをしても常に堂々としている。
サイコパス気質。
ただ、ほとんどの事は彼女の自作自演で説明がつくのだが、蘇りだけは流石に自演は難しそうなので、この辺りがどういう仕掛けだったのか気になるところ。
何か、仮死状態になるような薬でも手に入れたのだろうか。ロミジュリみたいな。


修道女が大胆に惜しみなくヌードになるので、一緒に見る人を選ぶ映画。
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