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ファイナル・デッドブリッジのEikeのレビュー・感想・評価

3.2
「ファイナル・デッドブリッジ」…。
タイトル付けるのも大変だわ。原題はもちろんFinal Destination 5です。

ジャンル系の作品としてはSawと並ぶ人気(?)シリーズの第5作。
2000年公開の1作目を見た時にそれまでになかった斬新なアイデアに感心した覚えがあります。
宗教倫理や生身の殺人鬼といった制限から解放された一種のゲーム感覚はホラー映画の可能性を広げるのではないかと期待させてくれました。
しかし、シリーズが進むにつれ映画の展開そのものがある種「ゲーム的」なものに変容してしまい、悲惨な「死」を陳列するだけになってきたのも事実で結果的にインパクトが失われて行った気がします。

ところがこの第5弾は少々雰囲気が違います。
工事中の橋での悲惨な事故を逃れた人々に定められた「死」が忍び寄る展開はこれまで同様。
今回もバンバンとテンポ良く(?)生き残った人たちが悲惨な形で命を落として行きます。
迫りくる「死」には姿も形もない訳ですが今回はちゃんとその忍びよる雰囲気が描かれている点も気に入りました。
つまりシリアス度が若干高い点が本作の特徴ですね。
導入部で惨事が起きるまでじっくりと登場人物たちの「日常」を描く辺りにもその特徴がよく出ておりました。

本シリーズの難しさは生存者たちの「ドラマ」を展開しにくい点にあると思います。
登場人物たちが敵対するのはいわば「死神」であり、実体を持たないいわば「宿命」とも言えましょうか。
そのつかみどころのなさが本シリーズのユニークさであると同時に相手に実態がないが故にドラマとして緊迫感を作り出すのが容易ではないとも言えるのかも。
そのためシリーズとして見るとパターン化が不可避であり、観客の関心を失わないようにするのは実は難しいと思うのだが今回は健闘しております。

ある「ルール」が新たに提示されたことで生存者たち同士の間での物語の濃度が若干ではありますが濃くなっております。
盛り込まれたアイデアは他にも見られます。
その最たるものは結末の付け方でしょうが、これは全く想定外なものでした。
伏線は散りばめられてはおりましたが気付かなかったなぁ。
ちょっと悔しい気もするが、悪くないと思いました。

この第5弾が公開されたのが2011年でもう10年以上も経ってしましました。
その間も新作製作の噂は出ては消えの状態が続いておりましたが2022年になって新たなニュースが。
現在大ヒット中のSpiderman: No Way HomeのJon Watts監督がプロデュースを引き受けることになり一気に製作への準備が始まった模様です。
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