常盤しのぶ

ショーシャンクの空にの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.8
数年前に字幕版を視聴済。金ローで吹替版を放送すると聞いたので視聴。以前観た時の記憶が助けとなり、びっくりするくらい内容がスルスルと頭に入った。そうでなくとも本作は物語構成に隙がない。本編の中で無駄なシーンが一切ない。それでいて退屈なシーンもない。2時間超という比較的長尺であるにも関わらず、中弛みもせずずっと名シーンのままエンディングを迎える。まさに名作映画。

好きなシーンを語ろうとすると最初から最後まで網羅せざるを得なくなる。それをするにはあまりにも余白が足りない。心を鬼にして1シーンだけ挙げるとするならば、レッドが『BROOKS WAS HERE(ブルックスここにありき)』の隣に『SO WAS RED(レッドもありき)』と刻むシーン。ブルックスが選んだ道と、レッドが選んだ道。来た道は一緒なれど、旅立つ先は違う。

『頑張って生きるか、頑張って死ぬかだ』

ショーシャンク刑務所という分厚い壁の向こうは、多少なり頑張る必要が出てくる世界だ。少なくともブルックスにとっては。彼は頑張った。刑務所の外で生きるために。しかし、外の世界では生きていけないと彼は悟った。新たな犯罪を犯せばまた刑務所に戻ることができただろう。しかし彼はそれを選ばなかった。だから彼は自ら死を選んだ。頑張って死んだのだ。

一方レッドも、もしかしたらブルックスと同じ未来を辿っていたかもしれない。しかし彼にはアンディがいた。アンディがレッドに残した言葉を頼りに、国境を越える旅に出る。映画ではアンディと再会できたが、原作ではその描写が入っていない。つまり、再会できたかどうかがわからないのだ。もしかしたら国境を越える前に、もしくは越えてから警察に捕まって刑務所に逆戻りしたかもしれない。もしかしたら旅の何処かでならず者に捕らえられ、命を落としたかもしれない。もしかしたら映画通りにアンディと再会できたかもしれない。いずれにせよ、レッドは自ら死を選ばず、新たな生を掴み取ろうとした。頑張って生きたのだ。どちらの道も私には尊く見える。

文句なしの満点を入れたいのだが、アンディが性的に襲われるシーンだけがどうしても受け入れられなかったので泣く泣く-0.2した。好きだよ? BL。でもね、強引はいかんよ君ィ……。その分制裁はスカッとしたけどね。