常盤しのぶ

ジャズ大名の常盤しのぶのレビュー・感想・評価

ジャズ大名(1986年製作の映画)
4.0
ジャケットをひと目見てから気になって気になって仕方がなかった本作。筒井康隆原作の小説があるらしい。そちらは未読。ジャズを銘打ってはいるものの、まともな演奏は後半から。ラスト20分のカオスなジャズセッションはまさに圧巻。三味線鼓算盤琴なんでもありのまさにカオス。各々が各々の楽器を持ち寄り、各々の演奏を楽しむ。ええじゃないかええじゃないか、同じ阿呆なら……音楽の楽しさの真髄を見た気がする。

古谷一行やミッキー・カーチス、財津一郎などキャストが地味に豪華で見応えあり。ただ、シナリオはあってないようなもの。その軽さがかえって観る側の気持ちを軽くさせてくれる。南北戦争から命からがら逃げてきた黒人が出ているとは思えない軽さ。

低予算映画なのか、撮影方法に様々な工夫が見えて面白い。場内を右へ左へズタズタ走り抜けるシーンが何回か出てくる。あのシーン好き。そろばんでスケボーする姫も好き。あれは私も昔よくやった。そしてよく怒られた。

勤王か倒幕か、右か左かで悩むよりも歌って踊って楽器を弾いて、難しいことなど考えるよりセッションやろうぜ!!今の時代ではなかなか観ないタイプの映画である。深く考えるだけ無駄、ふざけるならふざけ倒せ、というのが強いて言える本作のメッセージと言えよう。

それはそうと、本作を令和でリメイクしたものを観てみたい。主人公は西島秀俊あたりで。