実話を思わせるところがとても小ジャレた作品だ。
天才中の天才ピアニストが実は船で生まれた国籍も親も誕生日も不明な孤児で、なんと成人になっても今だ一度も船を降りたことがないという、ある意味ストイックな人物として描かれている。
彼にとっては船こそが完成された生きるに値する天国とも呼べる世界であって、外界は人間が持つ欲望に赴くままに底知れぬ増殖を続ける地獄に過ぎないのだ。
ラストは衝撃だが、実際のところはどうなのか?
エンドクレジットの歌を聞く限りでは、結局思いを寄せた彼女に会いに行っているかのようだが、どうなんだろうか。謎。