垂直落下式サミング

地球防衛軍の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

地球防衛軍(1957年製作の映画)
4.2
盆踊りや富士山など、日本的なものをアピールし、世界的なマーケットを意識していることがわかる。
それでいて名所撮影と破壊一辺倒の能天気な娯楽映画かといったらそうではなくて、ところどころ敵との議論と交渉によって戦いのおとしどころを探ろうと譲歩する友好的な考えが見え隠れしており、原水爆への批判がシニカルに表れているあたりも、やはり『ゴジラ』の流れをくんでいる。
宇宙ステーション、アルファ号、ベーター号など、次々と登場するメカが見もの。これら本作の巨大メカ、ミステリアンの服装、レーザー銃などのデザインはどれも素晴らしく、後に『宇宙大戦争』『海底軍艦』などでも東宝特撮にメカニックのデザイナーとして貢献する空想科学イラストレーターの小松崎茂が担当している。そのデザインは、当時の人が思い描いた「夢の未来像」が見えてくるレトロフューチャーな美しさ。どれもファンタジックでありながら、機能的な理由付けがありそうな造形である。
体がキャタピラに覆われていて口がドリルになっている巨大ロボットモゲラは、本来は侵略兵器などではなく、基地建設用に持ってきた土木工事用機械という設定なのだけど、それになぜだか説得力がありリアルに感じてしまった。
富士の裾野にて延々と繰り広げられる地球防衛軍対ミステリアンの大攻防戦は、手に汗握るアクションである!