箱の中のネコ

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗の箱の中のネコのレビュー・感想・評価

3.5
キートンの作品の中で一番好きな作品。
キートン撮影所で作成された長編の8本目に当たる本作品は、ギャグはもちろんのこと、サスペンスの要素もあってハラハラしながら見ることができる。また、服装や武器、汽車などの小道具や歴史的な背景も南北戦争の時代を忠実に再現されており、単なる90年以上も前の古いコメディ映画と片付けるにはあまりに勿体ない。
「偉大なる無表情」というあだ名通り、無表情に繰り出されるギャグの数々。どれもが面白いが、きちんとストーリーに沿って展開されるのでギャグが悪目立ちせずに楽しめる。
本作品には原作があり、実話に基づく小説らしいのだが、読んだことはない。内容としては本作品で最後に捕まってしまう北軍の将軍が主人公らしい。キートンは原作とまったく逆の視点から作成したということだ。それなら原作いらないんじゃ…というのは野暮だろうか。

ところでアニメ映画「シング」でバスターという名前のコアラがブラシになるシーンがある。
実はバスター・キートンの父親も大道芸人で、「人間ブラシ」というギャグで無表情のキートンをブラシのように使っていたらしい。「シング」のスタッフが作品に込めたキートンへのオマージュだ。