このレビューはネタバレを含みます
タルコフスキー作品における観念的な台詞や物語の叙述を理解する事は困難を極める。しかし、視線誘導のラインが明確なおかげか、巷で言われるような眠ってしまう作家だとは思わない。ただし、『ノスタルジア』は2回寝た。
主人公宅での淡々とした会話の中で、す〜っとそよめく白いレースのカーテンが、画面にリズムを作り出しており、心地よい。
例の長回しシーンは本当に圧巻すぎて、こんな凄いものなかなか見れない(1回途切れた?)。ファーストカットも大概。
本作には、内在化された矩形やエクリチュールが存在し、観客を包み込みながら、物語へと引き寄せる効力がある。
マーク・ロスコやバーネット・ニューマンら20世紀抽象画家と似たものを感じる。
そして、最後には希望があるから良い。
唯物論に抗う自転車。